動物霊園グリーンメモリアルのブログ

「いとしい子たちよ安らかに」

通信紙版 第46号

平成25年 1月

今年は巳年にあたります。以下は干支の巳(蛇)にまつわる昔話です。

むかしむかし、村人たちが集まって、お寺の掃除をしていました。 
掃除が終わると、お坊さんがお酒を入れたツボを持ってきました。
みんなはお礼を言って、お酒を受け取りました。
ところが村人は五人いるのに、お酒はツボに一人分しか入っていません。
みんなで飲むには、とてもたりません。
すると、一人の男が言いました。
「では、こうしたらどうだろう。みんなで地面に、ヘビの絵をかく競争をするのさ。
一番速くかきあげた者が、一人でお酒をいただくんだ」「それは面白い。よし、それで決めよう」
「ではいくぞ。よーい、ドン!」みんなはいっせいに、ヘビの絵をかきはじめました。
すると一人の男が、一番はやくかきあげました。
「出来たぞ! おれが一番だ! あっははは。みんなには悪いが、この酒はおれがちょうだいするよ」
男はそう言って酒ツボに手をのばそうとしましたが、ふと気がついて、
「しまった! これはしくじったぞ。ヘビに足をつける事を忘れていた」
と、あわててヘビの足をかきはじめたのです。
するとそれより先に、ほかの男がヘビをかきあげました。
「出来た。酒は、おれの物だ」男はそう言うと、お酒をおいしそうに飲みました。
はじめの男が残念そうに見ていると、酒を飲んだ男が笑って言いました。
「バカだな、お前は。よく考えてみろ、ヘビに足があってたまるもんか。
そんなよけいな物をくっつけようとするから、こんなうまい酒を飲みそこねるんだよ」
余分な物をつける事を『蛇足(だそく)』と言うようになったのはここから始まりました。


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みかん箱、りんご箱
斜陽眩しい師走の夕方、市内の八百屋さんへ猫さんのお迎えをいたしました。
午前中の仕出しの忙しい時間を避けてお伺いしましたが、年の瀬を迎えるにあたり、お店の方達は慌ただしく倉庫の品物の入替えをなさっておりました。
店内の片隅にはお正月用のしめ縄が陳列されて、その傍らにリンゴ箱に納めてもらった白い猫さんがおり、ご家族が入り口まで連れて来ました。
この猫さんには姉妹がいましたが、片方の猫さんは数週間前に突然行方不明になったそうです。
年老いた猫であり、そう遠くには行かないだろうと思いその日は帰りを待ちました。
次の日からご家族は猫の目線になりながら方々を隈なく幾日も探しましたが遂に見つける事は叶いませんでした。
そして姉妹は再会することなく今日を迎えました。
居間の奥からご家族が、いなくなってしまった猫さんが使っていたミカン箱を持ってきました。
箱の中には敷いていたタオルがそのままに、猫さんに見立てた折り紙も入っていました。
残った猫さんが亡くなった事により諦めをつけたいと言うご家族の願いから、姉妹の唯一の持ち物を一緒に荼毘に伏してあげました。





第46号紙面